●受容と肯定がリバノスのテーマです
もしも利用者のみなさんがこれまでに障害によって度重なる拒絶や否定を受け続けてきたとしたら
それを埋めるだけの受容と肯定を享受することが不可欠であるとリバノスは考えます。
リバノスは、可能な限り利用者の皆さんを受容し、肯定できるよう努めます。
●人格と個性を互いに尊重します
リバノスは利用者さんに馴れ馴れしくしません。
適切な距離を維持しながら個対個の大人同士として接します。
特別な場合を除き、しっかり丁寧語を使って話します。
また、挨拶も服装も誰かに強制や指導されるものではなく、好きにすれば良いと考えます。
自由とは好き勝手してもいいということではありませんが、一方で、自立支援や社会参加とは存在自体があやふやなマナーを守ろうとすることではありません。
それは人格や個性を否定してまで強制するようなものではありません。
リバノスは、人格と個性尊重の観点から、公序良俗違反など法に触れるような特別な場合を除いては服装の注意も行いません。
●個人の経済的尊厳に配慮します
低所得は個人の尊厳を毀損しています。B型の低工賃は国も問題視して改善策に苦心しています。
障碍者だから時給が低くてもいいという考え方自体が人権侵害であり、差別と考えます。
リバノスは健常者と対等の経済保証、すなわち最低賃金を守るよう努めます。
健常者の1時間の対価と障害者の1時間の対価に深刻な差がついている現状を正します。
●時間を創ります
リバノスは最低賃金の保証を目指しています。
このため、一般的な事業所よりもはるかに少ない時間の作業で毎月数万円の工賃を得られます。
時給1,000円で1日2時間の作業を月に22日利用すると
工賃は44,000円となります。このとき、月に44時間を作業に費やすことになります。
一方、時給200円のB型で1日8時間を22日利用した場合、
月に176時間もの時間を作業に費やしたにもかかわらず工賃は35,200円です。
リバノスのほうが月に8,000円以上収入が多く、自由な時間も月132時間増えます。
1日のうち有効に活動ができるのは8時間程度ですから、132時間は18日分にもなります。
つまり、リバノスなら毎月18日分も自由な活動時間が創造できることになります。
この時間を休んでもいいし、治療に充ててもいいし、趣味や娯楽など、好きなことに使ってもいいのです。
収入のためだけに時間を膨大に注ぎ込まなくてもいいのです。
リバノスでは時間の余裕を残しながら生活の足しになる収入を得ることができます。
そして、リバノスで新たな時間を手にするのは利用者さんだけではありません。
リバノスのスタッフは6時間半勤務で、残業は原則禁止です。
休憩を入れても1日最大7.5時間だけの拘束となっています。
一般的な事業所では9時間は拘束されますから、毎日1時間半ものゆとりができます。
この1時間半が毎月20回も手に入ります。
その時間は休んでもいいし、勉強をしてもいいし、趣味に費やしてもいい。
そうなるとスタッフの心身にも余裕ができます。
これは必ずより良い支援につながり、支援の質が上がるものと考えます。
●リバノスとは
リバノス(Libanos)はChronosとLibertyを組み合わせた造語です。
直接的に解釈すると、Chronosはギリシャ神話における時間をつかさどる神様であり、Libertyは英語において獲得された自由を意味しています。
よってリバノスは「自由な時間の創造」といったニュアンスの意味になります。
しかし、どんな言葉も意味が一意に決まるものではなく、広がりを持っています。
なぜLibertyを加えたのかについてお話しする前に、私たちが考える「古き悪しき福祉サービス」または「退場すべき支援者」についてをお伝えさせてください。それは次のようなイメージです。
・威圧的な態度: 利用者に対して高圧的で、恐れや不安を与えるような態度をとる
・偏見や差別: 特定の利用者に対して偏見を持ち、差別的な態度をとる
・一方的な支援スタイル: 利用者の意見や感情を考慮せず、自分の意見や指示を押し付ける支援スタイルをとる
・コミュニケーションの欠如: 利用者とのコミュニケーションが乏しく、関心を示さない、または耳を傾けない
・不公平な扱い:利用者に対して不公平な扱いをし、特定の利用者を厳しく扱ったり、他の利用者を甘やかしたりする
・権力の濫用: 自らの権力を乱用し、利用者に対して威嚇や脅迫を行ったり、不当な罰を与えたりする
・感情の爆発: 小さなことでもすぐに怒りを露にし、利用者に対して感情的になる
・支援への情熱の欠如: 支援に対する情熱や熱意が乏しく、利用者に対して支援に関する意欲や関心を示さない
・自己中心的な行動: 自らの利益や欲求を優先し、利用者の意思決定や利益を無視する
・利用者への尊重の欠如: 利用者を尊重せず、侮辱的な言動や扱いをする
このような福祉サービスあるいは支援者の傾向は、利用者たちに不快感や不信感を与え、支援環境を悪化させ、時には人権侵害にもなりえます。
良好な支援環境を構築するためには、利用者と支援者の間の信頼関係と尊重が重要です。
開設当初より私たちが支援方針として掲げ得てきた「受容と肯定」はまさにこのような悪しき支援に対するアンチテーゼであり、Libertyの語に集約されていると考えます。
そこで、組織の名称にもこの意味を加えることにしました。
リバノスの語には利用者、スタッフともにそれぞれの自由が調和の中で存続し、共存することも含みます。
個々の自由が繁栄へと波及し、社会全体の繁栄をもたらすことを目指します。
リバノスの語の一部にはInnovation(革新)の語も含まれており、私たちのサービスによって生まれた自由な時間や環境が新たな福祉の基準となっていくことを予期します。
私たちは、障害者基本法※の根本原則に倣い
”
全ての利用者が
障害の有無にかかわらず
等しく基本的人権を享有する
かけがえのない個人として尊重されるものであるとの理念に則り
全ての利用者が
障害の有無によつて分け隔てられることなく
相互に人格と個性を尊重し合いながら共生する社会を実現するため
障碍者の自立及び社会参加の支援
”
を実践します。
※補足 障害者基本法
私たちは目指す新しい福祉サービスの方針検討において、
根源的なルールや目的を「障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律」
https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=417AC0000000123_20200401_430AC0000000044
そして関連法の最上位にある「障害者基本法」に学びます。
https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=345AC1000000084